民泊開業ストーリー①鎌倉・腰越の「魔法の古民家」FOLK Koshigoe

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民泊開業ストーリー①鎌倉・腰越の「魔法の古民家」FOLK Koshigoe

道の真ん中を江ノ電が走り、ノスタルジックな商店街の雰囲気を残す漁師町、鎌倉・腰越。その腰越の住宅街の一画に、築100年の古民家宿「FOLK Koshigoe」(https://www.folkkoshigoe.com/)がひっそりと佇んでいます。空き家となってしまったご親族の大切な古民家を残したいとの想いから、2020年春に開業。宿泊施設としてだけでなく、地域の人のイベントなどにも利用されており、地域のコミュニティの場としても活用されています。

今回は、弊社が開業支援させていただいた施設の開業までのストーリーをインタビュー形式でお伝えする連載企画第1回として、この古民家のオーナーである山田有樹子さんに開業の経緯や想いなどをうかがいました。

※株式会社グッドネイバーズはFOLK Koshigoeの開業、運営の両方でサポートに入っています。

江ノ電が路面を走る腰越商店街

どうにかして実家を残したかった

―民泊を始めようと思ったきっかけを教えてください。

5年ほど前でしょうか、母が亡くなってこの家に父が一人で住むようになり、父から「家を壊して土地を売ろうと思う」と話がありました。いつかはその時がくるだろう、と思っていたのですが、実際にその時がくるとやっぱり寂しくて……。母が大切にしていた家だから、できれば壊したくない。いろいろな想いが込み上げてきましたが、選択肢などあるわけがないと諦めて片付けを始めました。それでもやっぱり諦めきれなかったんですよね。どうにかしてこの家を残していきたいという気持ちは変わらなかったです。

そんな時に湘南で家づくりをしている会社の社長さんとお会いする機会があり、古民家を残したいけど何から始めたら良いのかわからない、という悩み話に延々と付き合ってもらいました。新築住宅を建てている会社の社長さんに古民家を残したいというお悩み相談、今から考えると無茶な話ですよね(苦笑)。でもとても親身になって聞いてくれて嬉しかったのを覚えています。

そのときに紹介されたのが株式会社エンジョイワークスだったんです。ただ、当時は民泊を始めるなんてまったく思っていませんでした。

-民泊は考えていらっしゃらなかったのですね。

そうなんです。祖母の代から住んでいるので、近所の人たちがこの静かな環境を守りたいことはよくわかっていました。住宅街のど真ん中ですし、民泊はこのあたりではまだ一般的ではないので、家族を含め周りの方から利活用の方法については心配されました。

先祖代々思い出の詰まった家

まずは近所に開くことから

-私も鎌倉住民ですが、住宅街、特に昔から住んでいる方が多いエリアで民泊開業となると確かに勇気がいりますね(苦笑)その後、弊社にご連絡いただいたわけですね。

はい、株式会社エンジョイワークスに早速連絡を取ったら、まじめそうな男性(取締役 松島孝夫)とTシャツ、短パン、ビーサンのもじゃもじゃ頭の男性(代表取締役 福田和則)の2人がすぐに来てくれました。てっきりまじめそうな男性が社長かと思いきや……まさかの逆でした(笑)

会社への相談は結構勇気のいることなんですよね。でもこの2人はとても話しやすくて、私の想いを親身になって聞いてくれ、用途地域を調べるなどいろいろと考えてくれました。用途地域なんて言葉すらその時初めて聞きました。

そこで松島さん受けたアドバイスが、「まずは近所に開いて、近所の人に認められる場所にすること」でした。

-「まずは近所に開くことから」ですか。具体的にどのようなことをされたのですか?

最初はご近所の人を呼んで流しそうめんや古道具市を開催しました。そうやって人の出入りがだんだんと増えてきて。ある日、松島さんからハロー! RENOVATION(以下、ハロリノ。注1)に参加しませんか?と声をかけていただきました。松島さんがハロリノで紹介する文章を一生懸命書いてくれて。そこに私が言いたかったことや想いがすべて詰まっていたんです。本当にうれしかったです。あぁ、この人になら安心して任せられる、と思いました。

その後、「古民家の使い方会議」をテーマにイベントをしましょうと提案してくれました。イベント当日は和室いっぱいに人が集まってくれて、あれは?これは?といろいろな意見を出してくれ、自分一人では決して考えつかなかったアイデアがたくさん集まりました。何がやりたいかを考えるのではなく、ここで何ができるかを考えるミーティングが新鮮でした。

「古民家の使い方会議」の様子

-近所に開き始めて、その後の展開はどうでしたか?

老人会の方達に声をかけていただきました。腰越地区は老人会などで集える場所が少ないことと、どの場所からも行きやすいことで月に数回使っていただいていました。民生委員さんが顔見知りだったこともあり、生活支援コーディネーターさんをご紹介していただき、鎌倉市社会福祉協議会の赤い羽助成事業の「近所の団らん」をやってみませんか?とお話をいただきました。

地域の人たちと共に場所を残したい、という想いがあったので、その助成事業を試行錯誤しながら、多世代みんなで1年間一緒にやることで、ただ観光宿泊のためだけに使用しているわけではないことを徐々に理解していただけるようになりました。

その他は、口コミでワークショップやヨガ教室などに使いたいと少しずつお問い合わせをいただくようになりました。

台所に貼られている、FOLK Koshigoeで活動しているプロジェクトのチラシと思い出の写真

-最初はスペース利用だったのですね。そこからなぜ民泊を開業するに至ったのですか?

スペース利用を始めたのが5年くらい前で、airbnbにしてから2年半くらいですかね。スペース利用を始めた当時は施設のウェブサイトもなければほかのサイトに出していたわけでもないので、古民家を維持するための資金集めに苦戦しました。そこでまた松島さんに相談したところ「宿泊ができれば資金繰りが回っていくんですけどね、と言われました。静かな住宅街の一画ですし、宿泊なんて絶対できないと思っていましたが、自分一人ではなく、一緒にサポートしてくれる人がいるならできるかもと徐々に思い始めました。

-伴走してくれる人がいると心強いですよね。思い切って民泊を始めてみて、ご近所の方からの反応はいかがでしたか?

最初は心配される方も多かったと思いますが、今では、宿泊で得た資金で古民家を維持しているんだな、と理解もしてくれるようになりました。

叔父、祖母、我が家の3世代住んできた大切な家を守るだけでなく、こんなに多くの人達が出入りしていただける場所になったこと、本当に嬉しく思っています。

-最後に、グッドネイバーズに開業・運営サポートをご依頼いただいた理由や実際にご利用いただいての感想など教えていただけますか?

きちんと仕事をしてくれることはもちろんですが、それ以上に、私のこの家に対する想いや気持ちをしっかり受け止めてくれ、とことん寄り添ってくれることが大きく、本当に安心してお任せしています。松島さん、小林君(株式会社グッドネイバーズスタッフ 小林徹也)、木村君(株式会社グッドネイバーズスタッフ 木村歩)がいてくれなかったらここまでできなかったと思います。まだまだ発展途上で、これからも色々なハードルを越えていかなければいけないと思うので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

-こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。世代を超えて想いを紡ぎ、ご縁を紡ぐ場所に育っていっているのですね。次回は開業準備から開業後のお話もぜひうかがわせてください。本日はありがとうございました。

ありがとうございました!開放日も設けているので、また是非一度遊びに来てください。親子連れからおばあちゃん達まで、世代を超えて沢山の方が出入りしているのでかなりカオスな状態になっていますが(笑)

左から小林徹也(グッドネイバーズ)、FOLK Koshigoeオーナー 山田有樹子さん、木村歩(グッドネイバーズ)

聞き手:グッドネイバーズ 小林友佳

FOLK Koshigoeホームページ https://www.folkkoshigoe.com/
Facebook https://www.facebook.com/FOLK.KOSHIGOE
Instagram https://www.instagram.com/folkkoshigoe/
宿泊予約サイト  https://www.airbnb.jp/rooms/40186258
株式会社グッドネイバーズ https://good-neighbors.link/

暖かい日が差し込む縁側